風俗史、風俗評論を専門とする井上章一氏の美人に関する著作をいくつか読んでいます。
下記の4冊を読みました。
『美人論』朝日新聞社
『美人の時代』文春文庫
『美人コンテスト百年史』朝日新聞社
『日本の女が好きである。』PHP研究所
本格的な美人コンテストが日本で最初に行われたのは、1907年(明治40年)の『時事新報』という新聞が主催したものらしい。これについて面白いエピソードがある。
このコンテストで1位になったのは、末弘ヒロ子という学習院中等科三年生の16歳の令嬢だったが、そのために学習院院長・乃木希典により放校処分にされてしまったという。しかし乃木希典の斡旋で侯爵夫人になったそうだ。
昔の女学校では、嫁を探しに授業参観に来る人たちがいたという。そして美人の女学生は卒業する前に嫁に行き、卒業する女学生は不美人ばかりで“卒業面”(そつぎょうづら)と呼ばれていたそうだ。
博覧会のコンパニオンは、今では若い女性のあこがれの仕事になっているが、昔は違っていた。大正時代にはコンパニオンは“女看守”と呼ばれ、人びとから蔑まれる仕事だったという。
昔は女子大生といえば不美人と決まっていたそうだ。
容姿が劣っている女性が勉強によって社会的地位を手に入れようとすると考えられていた。
1962年に「ミス・エールフランス」に、早稲田大学在学の女子大生・糸見圭子が優勝したときは、驚きの目で見られたという。
今では高学歴のミス・コンテスト優勝者など珍しくなくなっている。
逆説的だが、女性の地位が向上するにつれて、美人の価値も上がるそうだ。高群逸枝が予言していたことだが、美人の活躍する世界は当時は恋愛市場と結婚市場にすぎなかったが、将来は政治活動、芸術、科学などにも美人が参入して来て、不美人に勝利するだろうと言っていた。著者によれば、事態はその通りに推移しているとのことだ。
その他、ここに書ききれないほど、美人についての薀蓄の詰まった本だ。
また井上章一氏が新しい美人論を書いたらぜひ読んでみたい。
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辻 (金曜日, 23 1月 2015 21:15)
紹介
百花繚乱 http://www13.ocn.ne.jp/~ryouran/
おほもと http://www.oomoto.or.jp/
言霊百神 http://futomani.jp/