江崎玲於奈博士の著作を読んで

江崎玲於奈著『オプションを活かそう 選択が人生を決める』(中央公論新社)を読了した。

江崎玲於奈博士がノーベル賞を受賞なさったのは私の少年時代だったが、当時既にノーベル賞を受賞なさっていた湯川秀樹博士、朝永振一郎博士と違って、アメリカへの頭脳流出者で、企業の研究所で研究をなさっているという点が斬新な印象を受けていた。しかしその後、私の江崎氏に対する評価は一時下がっていた時期があった。

一つは、ジャーナリストの本多勝一氏がノーベル賞を激しくこき下ろし、『植民地型知識人の典型としての江崎玲於奈氏』と江崎氏を批判する文章を書いていたこと(今では恥ずかしいことだが、少年時代の私は本多勝一氏を尊敬していた。)、もう一つは、当時話題に登っていたウーマンリブ運動に対して江崎氏が辛辣で批判的な態度をとっていたことである。私は生まれつきのフェミニストであったから、江崎氏には反感を持ったものである。

しかし、本書はなかなか面白いものであった。特に前半の自伝的な部分は、今まで知らなかった情報が含まれており、江崎氏への親近感を増す結果になった。

ただやはり日本よりも西洋を上に見ている節がところどころ見えるので、少し反感を買ってしまうのは事実である。確かに日本よりもアメリカの方が研究し易い状況にあるのは確からしい。だが、アメリカ礼賛一辺倒から脱却した藤原正彦氏の方に私は親近感を抱いてしまう。

本書には江崎氏は女性について何も記述していないが、果たして現在でも昔のように女性を見下しているのかどうか知りたいものである。

本書を読むと、江崎氏は自分の人生に自信を持っている様子なので、羨ましく思う。私も後世に残すべきものを何か成し遂げてから死にたいものだ。

前半の自伝的部分に比べて後半はやや退屈で読むのに少し時間がかかった。

 

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