シェリル・サンドバーグ著『LEAN IN』を読んで

LEAN IN シェリル・サンドバーグ 女性 フェミニズム

 

NHK Eテレで放送されたTEDカンファレンスでのプレゼンテーションや、NHKの『クローズアップ現代』で話題になった、フェイスブックCOOのシェリル・サンドバーグさんの著書『LEAN IN 女性、仕事、リーダーへの意欲』を読んだ。

 

 

 

本書によると、アメリカでは学位取得者と修士修了者の半分以上は女性であるにもかかわらず、高い地位に就く女性はとても少ないということである。

 

 私が感じたことは、アメリカでもフェミニズムは行き詰まっているのだなということと、アメリカも程度の差こそあれ日本と変わらないということだった。

 

 

 

本書のなかで著者は、ハーバード・ビジネススクールでの講演会にて次のように述べている;

 

「いまから十五年後には、ここにいる女性の約三分の一がフルタイムで働いているでしょう。そしてそのほぼ全員が、いま隣に座っている男子学生の下で働くことになります。」

 

 

 

高い地位に就く女性が少ない理由として、著者はいわゆる「ガラスの天井」だけではなく、女性自身の内面に問題があると指摘する。女性自身が出世する道から降りてしまうというのである。

 

ロックフェラー財団理事長のジュディス・ロダンが言う:

 

「私たちの世代は、あなた方に選択肢を与えるために、懸命に闘ってきました。私たちは、選択肢を勝ち取ることが大切だと信じていたのです。ですが、働くのをやめるという選択肢をあなた方のこんなにも多くが選ぶとは、考えていませんでした。」

 

女性がキャリアの途中で辞めてしまったり、野心をなくしてしまうのは、まず仕事と出産の二者択一を強いられるからだという。この事情は基本的に日本と同じである。

 

著者によれば、女性は非常に若い頃から出産と育児のことを思い煩っているという。まだ結婚はおろか交際している男性もいない段階から育児のことを悩むという。そのため男性に比べて高い目標を目指さなくなっているそうだ。

 

 

その他、女性が男性に差を付けられる点は、消極的であることである。女性は良い仕事をしていれば誰かが地位を与えてくれると思っているが、この考えは間違いである。こういう考え方を「ティアラ・シンドローム」と言うそうだ。努力していれば誰かがティアラを与えてくれると思っているということだ。

 

また、女性の特徴として、「インポスター・シンドローム(Imposter Syndrome;詐欺師症候群)」があるという。この症状は女優のエマ・ワトソンが告白したことで有名である。私にも同じ症状があるのだが、本書を読んで初めて知った症状名である。私が思うに、太宰治の『人間失格』の主人公の少年時代は明らかにインポスター・シンドロームである。私は『人間失格』を読んだとき、自分のことが書いてある、と衝撃を受けた。

 

他に、著者が講演したときに、残り時間が少ないので、あと質問は2人だけ受け付けると言ったら、女性が全員質問の手を下ろしたのに対し、一部の男性は手を降ろさずにいたので質問に答えてもらえたという例を挙げて、「手を上げ続けなければならない。」という教訓を得た女性の話があった。

 

 

 「女子トイレが無い」、「できる女は嫌われる」というのは、昔から聞いていることだ。

 

「会議で男女とも女性の発言を遮る傾向がある。」「女性が最初に出したアイデアを男性のものにしてしまうことがよくある」等も、ずいぶん昔からよく聞く話題だ。今の時代に、しかもアメリカで聞くとは思わなかった。

 

2003年のフランク・フリンとキャメロン・アンダーソンの実験で、同一人物のキャリアを男性名で読むのと、女性名で読むのとでは、受け取られ方がまるで違うというのも、ものすごく昔に同じような実験があったと思う。

 

 

何だか、私が若い頃からある話を多く読まされて、社会は未だこんな状況なのかと失望感を味わった。

 

 

 著者は「フェミニスト」と呼ばれることを恐れていたそうだ。日本でも1970年代のウーマンリブ運動が盛んだったころ、「ウーマンリブ」と同一視されるのを女性たちが恐れていたことを思い出した。実に古くからある現象だ。

 

 著者は現在では自分をフェミニストと呼ぶのに抵抗が無くなったという。私は、私のような男の方が「フェミニスト」と安全に自称出来るのではないかと思う。

 

 

ノーベル平和賞受賞者のリーマ・ボウイーに対し、アメリカ女性が、「リベリアのような国で内戦の恐怖や集団レイプに苦しむ女性たちを助けるには、私たちアメリカの女性はどうしたらいいのでしょうか」と質問したところ、リーマ・ボウイー氏は、「もっと多くの女性が権力のある地位に就くことです」と答えたという。女性が高い地位につくことには社会的な意義があるという根拠になるエピソードだ。

 

 

 他に、本書の中で私が気に入った文言は以下の通りである:

 

「ジェンダーについて話すより、人前でセックスについて話すようがまだやさしい。」

 

「女性は、まず男性と同じテーブルに付かなければならない」

 

「地獄には、女を助けない女が落ちる場所がある」

 

出世の道は、梯子ではなくジャングルジム。

 

「罪悪感を感じていない女がいたら、それは男よ」(マリー・ウィルソン)

 

「完璧をめざすより、まず終わらせろ(Done is better than perfect.)」

 

「フルタイムの仕事を二つこなせる人は一人もいない。仕事をし、子育てをして、三度三度の食事を手作りする・・・・・・そんなスーパーウーマンは、女性解放運動の敵と言わざるを得ない。」(グロリア・スタイナム)

 

 

 

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