こんぼ亭・・・イタリアの精神病院廃止について

今日(2012630日)は、NPO法人 地域精神保健福祉機構(COMHBO:コンボ)の主催する、第9回「こんぼ亭月例会 精神病院をぶっこわしたイタリアのすごさとあやうさ」を観て来た。

いつもの通り、亭主は伊藤順一郎先生で、ゲストは次の二人だった。

 

大熊一夫

ジャーナリスト。

「精神病院を捨てたイタリア 捨てない日本」(岩波書店)の著者

 

坂本沙織

  西南学院大学大学院 博士後期課程

  久留米大学

 

まず最初に、イタリアのテレビドラマ

  『昔あるところに「Mattoの町」がありました』

を一部上映し、紹介した。

この番組は、イタリアで精神病院を廃止した立役者のフランコ・バザーリアを描いたドラマだそうで、2012823日(木)の「リカバリー全国フォーラム2012 前夜祭」にて上映されるそうだ。

180人のMattoの会」が自主上映するのだが、日本語字幕の制作費として、一人1000円の寄付金を募り、それを観覧費とするとのこと。寄付金を払えば、「Matto」の一人として認められるそうだ。

Mattoとは精神病患者のことで、「Mattoの町」とは精神病院の意味である。

この番組紹介を観ただけでも、今日来た甲斐があった。

 

その後は、上記二人のゲストの講演を聴いた。

 

大熊一夫氏の講演は、氏の著書「精神病院を捨てたイタリア 捨てない日本」と内容が重なる部分が多かった。

「精神病院をぶっこわしたイタリアのすごさとあやうさ」というタイトルは、大熊氏が主催者側と電話で話して決めたそうだ。

講演の先に、「イタリアのあやうさ」を4つ挙げられた。

①精神病院を止めたときのあやうさ

②精神保健行政の怠慢によるあやうさ

③保守的な医師が、精神病院がやはり必要と考えているというあやうさ

④イタリアの経済が良くないことによるあやうさ

 

大熊氏は日本のあやうさについては、「日本は世界一あやうい」とおっしゃっていた。

日本人は「精神病院病」にかかっているともおっしゃった。

 

次に、「精神病院を廃止したイタリアのすごさ」について、時間をかけて話された。

1970年に「ルポ精神病棟」で取材した地獄の病棟を天国の病棟にしたいと最初は考えていたが、ジル・シュミット著「自由こそ治療だ」を読んで、イタリアで精神病院を無くすことが実現しつつあることを知り、1986年にトリエステへ取材に行ったそうだ。

(因みに「自由こそ治療だ」とは、トリエステの精神病院の壁のらくがきにあったそうだ。)

フランコ・バザーリアの活躍により、1971年~1978年に、トリエステでは、精神保健センターに患者が移り、精神病院がほぼ空になったとのこと。

1978年に全イタリアに、精神病院を廃止する 180号法(バザーリア法)が成立し、1998年までに精神病院が消滅したとのこと。

その180号法では、「治療は個人の自由意思のもと」と規定されている。

新しい療法では、Assenblea(集会)が重視されている。

そのような話をされた。

最後に、「クライシス」の契約書を患者が書いていると説明されたが、その内容は、患者が「クライシス」時にどの病院へ自分を届けて欲しい等のことが書かれており、それは私が感じたところでは、「WRAPのクライシスプラン」によく似ていた。

 

次に、坂本沙織氏の講演を聴いたが、実際にイタリアの精神医療で働いた経験を語られ、大熊氏よりも、「イタリアのあやうさ」を強調して話された。

坂本氏によると、トリエステですらも、システムは完全ではないらしく、人々が苦労して活動なされているとのことだった。

現代の問題点として、公的機関が力を持ちすぎているとおっしゃった。

 

その後は、伊藤順一郎氏、大熊一夫氏、坂本沙織氏による鼎談を行ったが、それを聞くのは不要と私は思ったので、途中退出しました。

 

以上が、今日のこんぼ亭の内容だったが、ノートを取るのが大変で、不完全な記録しか出来なかったが、日本の精神医療の状況について、イタリアと対比して考えるきっかけを得た。

 

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