北嶋一郎著 『生きぞこない』 (ポプラ社)を読みましたので、
簡単ですが、感想を書かせていただきます。
私はいつどこでこの本のことを知ったのだろうか?
誰かが本書の著者のつぶやくツイッターを教えてくれたのだと思うが、詳しく覚えていない。
私はツイッターで著者のプロフィールを読んで共感したので、この本を書店に予約した。
著者の北嶋氏の経歴は、下記のように私と似た点があるからだ。
1.有名な会社に就職し、割と恵まれた給与をもらっていたこと(私の給料は北嶋氏ほどではなかったが、まあ良い金額だった。)。
2.その会社を辞めることになり、恵まれた生活が断たれたこと。
3.精神障害者となったこと(障害等級が2級というところまで、私と同じだ。)。
4.本を書こうと思ったこと(私は神経科の主治医に、本を書くことを勧められているのだが、私には作文能力が無いので断念している。)
そこで、私と同じ境遇の方だろうと勝手に思い込んで、本を予約したのだ。
読後感を言うと、よく書けている本だ。
私が本を書いても、とてもこんなレベルの本はかけないだろう。
決して購入したのは間違いではなかった。
私は、本書のような自伝的な本を読むときに、「書かれている全部が真実ではあるまい。」と思いながら読む習慣がある。自分のことを書くときに、人は完全には正直ではないからだ。
本書を読むときも、「ここはウソかも知れない。」とページに付箋を貼りながら読んだ。
しかし、「これは十中八九ウソだろう。」とはっきり思えるのは一箇所のみだった。大部分は真実が書かれているものと判断した。この著者は正直な人だと今は思っている。
しかし、一つ失望した点がある。これは私が読む前に勝手に思い込んでしまっていたのがいけないのだが、私はてっきり、著者が会社を辞めたのは精神障害になったためだと勘違いしていたのだ。
それは私自身がそうだったからだ。
私は有名な電機会社に良い給料で勤めていた技師だったが、統合失調症を患ったために(後にアスペルガー症候群も併発していると分かった。)、仕事が出来なくなり、リストラされたのだ。
しかし、この本の著者が無職の状態になったのは、会社の一部が中国企業に売却されたり、半導体不況のためであって、双極性障害とは関係なかったのだ。
実際、精神障害のことは、本書の主題ではない。精神障害については、まるで付け足しのように、後半に述べられているだけだ。ツイッターで、著者がこの本を、書店の心理コーナーや心の病のコーナーに置きたがっているように書かれていたが、本書は、ビジネス本や、人生論の類の棚に置くのが相応しい。
ところで、著者はお金に困っている様子だが、障害者年金は受け取っているのだろうか。
障害2級なら、かなりの金額を受け取れると思うのだが。年金についても書いてあれば良かったと思う。
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まこと (金曜日, 22 6月 2012 16:56)
会社を辞めたのは、本当に精神障害だったかは別として、そのような診断を受けて出社していなかったからだ。大部分がウソだろうと思って読んだ貴殿が、本書に書かれていることが嘘ばかりであることを見抜けなかったことが残念だ。このような本はビジネス書の片隅にでも置いてはならない。
kishilibro (土曜日, 23 6月 2012 23:28)
>まこと様
コメントありがとうございました。
貴重なご意見として、頭に入れておきます。
pqnavi (火曜日, 10 7月 2012 23:18)
こんばんは。
私も読みました。
kishilibro (水曜日, 11 7月 2012 02:37)
>pqnavi様
こんばんは。
コメントありがとうございました。
私の知り合いにも、読んだ人が増えているようです。
古謝 哲也 (土曜日, 18 8月 2012 09:36)
はじめまして。
僕も先週、買って読みました。
読み安い本でした。
僕は文章力はないですが、自伝を漫画に描いてブログに載せようと思います。
(僕も統合失調症・二級です)
kishilibro (土曜日, 18 8月 2012 10:23)
>古謝哲也様
はじめまして。
コメントありがとうございました。
ブログには批判を書きましたが、良い本だと思います。
私のブログで一番多く読まれているのが、この記事です。